国道17号の東側に広がる農村地帯をニョロニョロっと車で走ること2分。畑の真ん中にポツンと立つ三角屋根のお店が、今回の目的地「武蔵野うどん くわ郷」だよ。店主の桑野充さんは北本市で生まれ、小学生の頃から実家の農業を手伝ったりして育ち、大学卒業後にJAさいたまへ就職。18年近く働いたあとにこの世界に入ったんだって。「子どもの時に祖母が作ってくれるうどんが大好きで、社会人になってからも『いつか手打ちうどんの店を持ちたいな』と思ってたんです」。うどん作りを学ぶために桑野さんがなぜ「本手打ちうどん 庄司」に弟子入りしたかというと、「県内あちこち食べ歩いたなかで『庄司』のうどんが一番自分好みだったから」。
「庄司」での修業を終えた桑野さんは2022年1月に「くわ郷」をオープンさせるんだけど、うどんの次にこだわったのが自家農園で栽培した新鮮野菜。お店のすぐ横にある大きな畑には、今の季節だと白菜や大根、ナスなんかがいっぱいなっていて、つけ汁の具材や漬物に使う野菜のほとんどを桑野さんが自分で育てているんだ。「JA時代に北本のおいしい野菜をたくさん見てきたし、僕の実家も農家ですからね。自分が手塩にかけて育てた野菜を皆さんに食べてもらいたくて、営業の合間に畑仕事をしています」。野菜の収穫体験&うどんを味わおう的なバスツアーも以前はやっていたとか。それにしても広~い畑だねぇ!
お待ちかねの実食タイム~! 桑野さんがおすすめしてくれたのは、武蔵野うどんの王道にして毎日ほとんどお客さんが注文するという「肉汁うどん850円」だ。最初に麺をそのまま1本。しっかりと歯応えのある麺は噛むと小麦の香りがぶわっと出てくる、まさに「庄司」ゆずりの出来だね~。エッジの立ったごつごつ食感だから、お箸で手繰り寄せながらよ~く噛んで食べてね。つけ汁には大きな豚バラ肉やタマネギなどが入っていて、肉から溶け出した脂がつけ汁の味をさらに濃厚にしている。薬味と漬物とは別に揚げ玉が付いている理由は「これは完全に僕の好みです(笑)。途中で揚げ玉を入れるとグンとおいしくなるんですよ~」。
肉汁の次に人気の「田舎汁うどん900円」。素揚げしたカボチャやナスに、きのこや豚バラ肉も入ってかなりのボリュームぅ。野菜の甘味やきのこの旨味を感じるから肉汁とは違ったおいしさ!
自宅で「くわ郷」の味を楽しみたい人にはお土産うどん。生麺2人前とつゆが付いてちょうど1,000円。極太の麺だから茹で時間は12分前後かかるけど、好みの茹で加減にできるから良いよね~。
うどんを待つ間は店内をじっくり眺めてみて。宮大工さんが作ったダイナミックな造作の天井はかなりの迫力で、「ケヤキを贅沢に使ってます」と桑野さんも自慢げ。テーブルもケヤキの1枚板なんだよ~