午後3時ちょっと前にお店に到着し、さっそくお目当ての「妻沼寿司500円」を購入。これこれ!長いいなり寿司が3本と太巻きが4切れ入って500円と超リーズナブル。甘めに味付けした油揚げに酢飯がたっぷり入ったボリューム満点のいなり寿司は、不思議とどんどん食べられちゃうおいしさ♪ かんぴょうの太巻きと交互に食べつつ、たまに紅ショウガで口の中をリセット。あっという間に完食しちゃったよ。聖天山の近くには「小林寿司店」を入れて3軒の聖天寿司屋さんがあってね、僕は甘さ控えめのここの味が前から好きなんだ~。
「小林寿司店」の5代目大将の小林正樹さんによると、昔から妻沼の郷土料理だったという長いいなり寿司と太巻き。今から140年前に妻沼聖天山の境内でお店がスタートし、正樹さんが子供だった1960年代には現在の場所で営業をしていたんだって。妻沼寿司の歴史を研究している大学教授の話では、その発祥は江戸時代中期にあたる宝暦年間。おいしい米と大豆がとれた妻沼で生まれた妻沼寿司は、聖天山で修行を終えた僧侶たちが帰郷するときの食事として持たされていたとか。もしかしたらいなり寿司の元祖がこの妻沼寿司なんじゃないかとも言われているみたい。
妻沼寿司はどうして一般的ないなり寿司よりも長いのか?寿司を作っている大将に聞くと「さあ…昔っからこの長さだったからなぁ」と一言。毎朝7時過ぎから厨房で寿司を作るのは大将と奥さん、それから息子の大礎さん。数十年ほど継ぎ足しの特製ダレで煮込んだ油揚げに酢飯をどんどん付けていくんだ。寿司は「握る」というけど、大将の所では昔から「付ける」と言うそう。煮込んでいる時に破れてしまった油揚げはかんぴょうでクルッと巻いて完成。さっき僕が食べた1人前で使うごはんの量はおよそ1合。これが多い日には300個ほど売れることもあるという人気の味なんだよ。
手早く付けた寿司をアルミ製のボックスにどんどん並べて
いってからパック詰め。長いいなり寿司はとっても崩れやすいから、これに入れて形を落ち着かせるんだって。
熊谷市内の豆腐屋さんに特注している油揚げを味付けするタレ。代々受け継がれてきた味を守り、数十年もの間継ぎ足してきたから旨味がぎゅっと詰まっている。
寿司に入っている紅ショウガはレジ横で販売。甘酸っぱいあの味はカレーにも合うかもね。ちょっと甘めの甘酢ショウガもあってお値段は大で1400円。小が700円。