山に囲まれた秩父では昔からそばを栽培していて、正月やお祭りの日、お客さんを招いたときに手打ちそばを作って食べていたんだ。つまり、秩父の人たちにとってそばは“おもてなしの料理”というわけ。そばを打つのは女性の役目だったそうで、おばあちゃんからママに、ママから娘にそば打ちを教えていたそうだよ。そんな伝統ある秩父そばを食べられるのが、昭和56年に創業した「わへいそば」。今は2代目の黒沢学さんが父・和平さんの味をしっかりと守り続けているんだ。
さっそく黒沢さんに秩父そばを作ってもらいました。出てきたのは「ざるそば くるみ汁918円」。お店で食べるそばよりもちょっと太めの麺をよく見ると、ぷつぷつと黒っぽい粒が。このそばには、そば殻と呼ばれるそばの実の外側についている硬い皮が練り込まれていて、独特の風味と食感が楽しめるんだ。そして珍しいのはやっぱりくるみ汁だね。秩父では昔からくるみがよく採れたようで、くるみ汁でそばを食べる習慣があったんだって。クリーミーな口当たりとあっさりとした後味が特徴で、この田舎風のそばにぴったり!
田舎そばっぽさを出すために麺の太さをわざと変えるのも、先代からのやり方。左手の角度を変えながら包丁を下ろして幅を変えているんだって。「そば切りはあえて上手になりすぎないように」が黒沢さんのポリシーなんだ。
秩父そばの代名詞であり、ここ「わへいそば」の名物がこのくるみ汁。くるみペーストをそばつゆで割っていて、ほんのり甘さを感じるクリーミーなつけ汁。ほかのお店ではあまり見ないけど、食べるとこれがクセになる!
そばのお供といえば天ぷら。だけどそれでは面白くないってことで黒沢さんが考案したのが「秩父名物3点盛り378円」。秩父地方でとれるしゃくし菜の漬物と味噌ポテト、それから自家製のそば豆腐が楽しめるんだよ。