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【北部人物ファイル2】シンガーソングライター ミルク082さん2013.10.10
◆プロフィール
ミルク082(ミルクおやじ)/1960年4月12日生まれ、深谷市出身。元酪農家。牛乳の消費拡大をめざし、2001年よりシンガーソングライターとして活動開始。牛をモチーフにした白黒コスチュームに身を包み、自ら作詞作曲した楽曲を披露。2011年に深谷市議会議員に当選した以降も、埼玉県内を中心に全国のイベントでユニークなパフォーマンスをおこなう。
酪農家としての苦悩
私は26歳から約20年間、酪農家として乳牛を飼育していました。ところが、牛乳の消費量は年々減少していき、さらに口蹄疫やBSE問題などが起こってしまい、牛肉・牛乳に対する世間の警戒心が強まっていきました。そこへ追い打ちをかけたのが、某乳製品メーカーの集団食中毒事件。酪農業界はこの事件をきっかけに壊滅的な痛手を負うことになります。私もそうした状況のなか、もがき苦しむ酪農家のひとりでしたが、同時に、「苦しい、どうしよう」と嘆いているばかりではいけないという思いがあったんです。
酪農家だからできること
私なりに何かできないか? そんなことを毎日考え、学生時代にちょっとだけバンド活動をしていたということもあり、歌を唄って牛乳のイメージアップをしようと思い立ったんです。とはいえ、曲をまともに作ったとこもなく、ほぼ見よう見まねで。そうして2001年に生まれたのが「ミルクソング」という曲です。牛乳をイメージしやすいよう曲名はシンプルに、歌詞の出だしはこんな感じです。“ミルクが売れないと ちょっぴり困っちゃう だって私たちホルスタインなんだもん”。乳牛たちの気持ちを歌に込めたかったので、このフレーズを入れました。と同時にこれは、牛乳から心が離れてしまっている消費者に向けての、酪農家からのメッセージでもありました。
シンガーソングライター ミルク082誕生!
牛たちの気持ちを代弁する歌詞なんだから、唄うときは牛になりきってやろうと。そこで、知り合いに全身まるっと牛柄のコスチュームを制作してもらい、当時41歳だったこともあり、「ミルク082(おやじ)」という名前で活動することにしました。自作した1枚500円のCDを引っ提げ、県内で開かれる酪農イベントなどに参加しているうちにちょっとした話題となり、「ミルクソング」がNACK5のオーディション番組で月間MVP賞をもらったりと、スタート直後は上々の滑り出しでしたね。ちなみに、演歌調の曲「人生乳搾り」を発表したときは牛柄の着物を着たこともあるんですよ。
精力的に全国を飛び回る日々
活動初期からブログなどで情報を発信していたこともあり、早い時期から問い合わせや出演オファーが来ることもありましたね。48歳で酪農業を辞めてしまうのですが、これも私にとっては良い契機となりました。時間に余裕ができたことで、ミルク082の活動範囲を全国に広げていこうと。ですが、それまで首都圏でしか活動していなかったので、地方に行けば「ミルク082って何者?」みたいな反応ばかり。酪農イベントが開かれると知れば、すぐに飛んで行ってその場で参加させてほしいと直談判することもありましたよ。どんどん露出して認知してもらおうという気持ちでした。酪農業界のネットワークで次第に私のことが広まり、ある時は愛媛県の畜産関係者に呼ばれ、地元FM局に出演したこともありましたね。
一生、ミルク082を続けます!!
この活動を始めて12年、今でもたまにイベントに来てくれた方から「そんな恰好をしてて恥ずかしくない?」って聞かれます。恥ずかしいなんて思ったことは1度もありません。酪農家が牛乳を買ってもらいたいというのは、ごく自然な考えです。酪農を辞めた今でも牛乳の消費拡大と、全国の酪農家の思いを代弁する目的があるので、私はいつも自然体でステージに立っています。この12年間で北海道から沖縄までおじゃましましたが、全国制覇はまだできていません。これからも一生ミルク082を続けて、全国の皆さんに牛乳の魅力をお伝えしていきます!
◎ゆるキャラGPにもエントリーしています◎
新作コスチュームは本格着ぐるみ仕様! 「ミルク082くん」は「ゆるキャラグランプリ2013」にエントリーしています。投票期間は11/8(金)まで。こちらの特設サイトからぜひ投票してください。
写真:(左)インタビューに応えるミルク082さん。(中上)自作CDはこの12年で2000枚以上を販売している。(右上、中下)10/5に開催された「牛乳・乳製品フェア2013」でのパフォーマンス風景。(左下)新作コスチューム「ミルク082くん」は、雨天のためデビュー延期となってしまった。