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2011年 10月

特派員:清水 隆明

韓国ホラー映画「ホワイト」 センターって必要ですか?2011.10.07

 めっきり涼しくなりました。北海道ではもう初雪が舞ったとか。体調管理に十分気をつけていただきたいと思います。
 冷たい雨の降る中、所用で上京した際、空き時間に六本木で韓国ホラー映画「ホワイト」を見て来ました。

 ホラー、全くダメです。寝られなくなります。でも、この映画は、今や日本のミュージックシーンを席巻するK-POPを題材にした珍しい作品で、興味津々だったのです(写真はポスターです。映画館で撮影しました)。

 ストーリーは--
 売れない4人組ガールズグループ「ピンクドールズ」がある日、引っ越し先のスタジオ兼合宿所で、一本の古いテープを見つけます。そこには、作者不詳の未発表曲が。「ホワイト」という曲名で売り出したところ大ヒット。ところが、センターに入ったメンバーが次々と不幸に襲われます。最年長リーダーのウンジュが原因を調べていくうちに、引っ越し先のスタジオで15年前に起きた謎の死亡火事に行き着き、歌にかけられた呪いの秘密が明らかにされていく……。

 最近、日本でもスポーツ紙やワイドショーを中心に、韓国芸能界の舞台裏が報じられてますよね。自殺、夜の接待、遺書めいた手紙の発見、グループ解散騒動、薬物……。
 映画でも、アイドル世界の華やかさとは裏腹の、メンバー内のいじめや嫉妬、インターネットでの誹謗中傷、整形、スポンサーへの性接待など暗部がリアルに描かれています。どこまで本当なんだろう、と勘ぐってしまいます。よくもまあここまで思い切って表現できたと、ある意味感心しました。

 確かに、誇張や飛躍、無理な設定はあります。

 それでも、出来は秀逸! 言い方は悪いですが、ひろいものです!

 確かに出てくる幽霊は怖いのですが、スターの座を手に入れるためならどんな手を使ってもライバルを蹴落とそうとする少女たちの冷酷さの方が、怖かったですね。

 観客がパニックに陥った暗いスタジオのステージ中央に、故障した照明の火花をスポットライトのように浴びてすっくと立つ影の姿が、恐ろしくて、美しくて、哀しくて、切なくて……。
 また、燃やそうとかけたオイルが垂れて、CDジャケットに描かれたウンジュの目から涙があふれたように見えるラストの一場面には、思わずほろっときてしまいました。

 K-POPや韓国芸能界に興味のない人には、全く食指が動かない映画でしょうね。一般向けではないのかもしれません。
 しかし、謎解きは面白かったし、ライブシーンには迫力があるし、サスペンスタッチの脚本にも、演技にも気合いが入っているし。ホラー映画ファンは楽しめるでしょうし、少なくとも、軟弱な「シャンハイ」より完成度は上、と断言いたします!

 余談ですが、この映画のキャッチコピーは「センターは、ゆずらない」。その通り、熾烈な「センター」争いが描かれています。
 そこで、素朴な疑問です。劇中のセリフにもありましたが、センターって必要ですか?
 少女時代やKARA(カラ)などK-POPグループを見ていると、メンバーの立ち位置がクルクルと変わって、みんな平等に真ん中で歌っている気が。端っこにいるメンバーだけが歌い踊って注目されるパートもあるますよね。それでいいじゃないのと。メンバーそれぞれのファンが楽しめるし、何か不都合があるのかと。
 それとも、みんなが同じような顔に見えるために、特定メンバーが歌っているのに分からないおじさんの錯覚かしら?
 やっぱり、「総選挙」か「じゃんけん」が、不満を残さない公平な選び方なんでしょうかね。

 それにしても、もう少し、映画館にお客が入ってもいいような。おかげで、ゆったりと「センター」で見られましたけど。

 ところで、主役のウンジュを演じたハム・ウンジュンさん(22)は、9月28日に日本デビューした「T-ARA」(ティアラ)の一員です。T-ARAはK-POPガールズグループ最後の女王と言われた7人組の実力派です。
 デビュー曲の「Bo peep Bo peep」は聴きました? というより、見ました? 両手を丸めて「ポピポピポピポピ」とやる、あれです。一度聞いたら忘れられないユニークなメロディーに、かわいらしいコスプレ萌え系の「ネコダンス」。韓国では一世を風靡したとか。スポーツニッポンによると、日本でも10日付オリコンチャートのシングル部門でトップに躍り出たそうです。海外グループのデビュー曲で1位を獲得するのは史上初で、まさに飛ぶ鳥落とす勢いといったところでしょうか。
 昨年のKARA「ミスター」の「ヒップダンス」にとってかわり、きっと、忘年会の一押し宴会芸になるでしょう!?

 今回は映画「ホワイト」を中心にお話ししました。
 いやぁ、映画って、本当に面白いもんですね。
 では次回またお会いしましょう。サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ!